・便の色調を写真で示したカード
・胆道閉鎖症を見つけるためのもの
・胆道閉鎖症の治療は葛西手術。手術時期がその後の経過に影響
・便の色が早期発見のキーポイント
・出生直後でなく生後1〜3か月ごろに見つかる
・乳児健診では見つけられないことがある
便色カードとは、便の色調を写真で示したカードです。現在母子手帳への掲載が義務付けられていますが2012年からですので馴染みのない方も多いと思います。
胆道閉鎖症という病気を見つけるためのものです。
胆道閉鎖症とは、肝臓で作られる胆汁が腸へ流れ出なくなる難病です。原因は分かっていませんが、生まれる前後にそういう変化が起きます。胆汁が腸へ流れ出なくなると肝臓に胆汁がたまり肝臓を痛めつけ、そのままでは肝硬変となってしまいます。
治療は葛西手術をすることですが、手術の時期が遅くなるほど将来的な生存率が下がることが分かっています。手術時期の目安としては60日だとか90日だとかいわれており、早期発見が大切な病気です。
胆道閉鎖症の症状には、黄疸、灰白色便、肝障害などが挙げられます。また肝機能障害から出血しやすくなり、頭蓋内出血ではじめて胆道閉鎖症が分かる場合もあります。
黄疸は生まれた直後は生理的黄疸がありますので見た目では分かりにくく、肝障害は採血しないと分かりませんので、便の色が一番のキーポイントになります。
ただ便色での判断にはいくつかの注意すべき点があります。
-主観的な判断である-
灰白色便といっても胆道閉鎖症のお子さんの便も真っ白なわけではありません。ベージュ〜薄レモン色であることが多いです。また現在は子育てが初めてである親御さん、また子育て経験のある親類と同居していない親御さんも多く、少し気になっていても「こんなものかな」と様子を見てしまうことがあります。
-胆道閉鎖症は生まれたあとに出来上がる-
生まれた直後はしっかりした黄色(黄土色)の便が出ていたお子さんでも、生後1〜2か月にかけて徐々に便の色が薄くなり胆道閉鎖症と診断される経過のお子さんがいらっしゃいます。その仕組みは分かっていませんが、このことから胆道閉鎖症は生後1〜2か月で変化して出来上がると考えられています。そのため以前は「先天性胆道閉鎖症」と呼ばれていましたが、最近は先天性とは呼ばれなくなっています。
-乳児健診でつかまえられない-
上の記事とも関連するのですが、1か月健診と3・4か月健診の間で病気が完成する場合があり受診が遅れることがあります。
以上の理由から、ご両親が初めての子育てであっても気付くことが出来るように便色カードが考案され、その有用性がみとめられため母子手帳に掲載されるようになりました。
出産を控えた方だけでなく、お母さんになる前の方たちにも知っておいてもらいたい情報です。